京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻の概要

建築学専攻(博士前期課程)

<専攻紹介>
都市・建築遺産の宝庫であるとともに世界有数の国際的発信力を持つ都市である京都において都市・建築学を学ぶ本専攻では、この地の特性を最大限に活かした教育・研究を行っています。地球規模で考えながら、京都という場でしか掴み得ない能力を磨くこと。本専攻ではこれを〈KYOTOデザイン〉と銘打って教育、研究、実務を行い、地域と歴史に根ざすとともに国際的な競争力のある建築家、建築技術者、都市プランナー、修復建築家等の高度な都市・建築専門家を育成していきます。それは環境における空間的広がりと時間的厚みを未来に向けて高次元に統合し構想する担い手を養成するものです。

・博士後期課程進学について
建築学専攻(博士前期課程)を修了した学生は、建築学専攻(博士後期課程)を受験することになります。

<教育プログラム>
専門性に踏み込みつつ、実社会への適応力も身につけるための重点的な教育を意図して編成されます。
まず、建築設計教育として、建築をとりまく住環境・都市環境・自然環境、その共生に向けた生態学的知識や、環境コントロール技術をマネジメントするとともに、それらをより高い芸術性の中で取りまとめられる能力を修得させます。我が国の一級建築士資格のみならず建築実務における職能の国際推奨基準に対応しつつ、高度な職能教育カリキュラムを編成しています。京都からの発信を強く意識し、日本のみならず世界の都市・建築とその環境のデザインを創造的にリードする、高度な能力を持つ建築家を育成します。
一方で、21世紀におけるストック型社会への転換を強く意識し、既存の都市・建築を活用すべきストックとしてとらえ、その保存・修復・再生、あるいはその保全に向けた総合的マネジメント能力を育成します。ストックとしての都市・建築の保存・修復・再生能力、あるいはその保全に向けた総合的マネジメント能力を身に付けた、当該分野のリーダーとなりえる都市・建築専門家、具体的には再生・リデザインを得手とする建築家、修復建築家、都市・建築プランナー、ヘリテージマネージャー、構造・環境技術者等を育成します。そのため、授業科目として企業のみならず地域や海外でのインターンシップを正式に位置付け、多様な建築実務経験を積極的に促しています。また、学部4年次を博士課程前期課程0年次と見なして、M0に相当する学生には大学院博士前期課程の一部科目の入学前の受講を認めるなど、博士後期課程の3年間を含めた3×3制度による9年間の教育プログラム・システムの実践を進めています。

大学院特別教育プログラム(修士課程)建築都市保存再生学コース

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デザイン学専攻(博士前期課程)

専攻紹介
・デザイン学専攻とデザイン経営工学専攻が融合、ロンドン芸術大学(UAL)とのダブル・ディグリー・コースの設置
デザイン学専攻(新)は、2018年度に、デザイン学専攻(旧)とデザイン経営工学専攻を融合させて新しく誕生した専攻です。二つの専攻の良いところを残したかたちで生まれ変わり、旧専攻(デザイン学とデザイン経営工学)を目指していた方々にとって、より魅力的な専攻になっています。2021年度には、ロンドン芸術大学(UAL)とのダブル・ディグリー・コースも設置しました。

・博士後期課程進学について
デザイン学専攻(博士前期課程)を修了した学生は、所属する研究室に応じて、デザイン学専攻(博士後期課程)か設計工学専攻(博士後期課程)を受験することになります。

教育プログラム
「経済のグローバル化、人口構成の急速な変化、地球温暖化に代表される環境・資源問題など21世紀型の社会的課題が顕在化するなか、情報、医療、環境などにおける技術革新への大きな期待が寄せられています。
しかし、現代社会の直面する諸問題の特徴は、単一の技術あるいは思考アプローチでは解決できない複雑性にあります。
問題現象の底流にある真の構造を見抜き、様々な技術を編集して新たな課題解決を提示する「デザイン思考」が今社会では、求められています。
デザイン学専攻では、こういった新たなデザインの役割・機能をソーシャルインタラクションデザインと定義し、モノの造形に留まらず、新たなサービスの創造と社会実装を行える人材の育成を目指しています。
ソーシャルインタラクションデザインを実践する未来のデザイナーは、1)新しい価値の創造 2)異分野間の連携・横断 3)新しい社会環境の構築の能力が求められます。
1)は、的確なアイデア表現技術を基軸に、プロダクト・プレイス・ビジュアル・キュレーション・ビジネス・テクノロジーの専門知識を統合して、製品やサービスを革新したり、美術品やデザイン品の価値や意味を不断に更新していく能力です。
2)は、社会フィールドをグローバル・ローカルの垣根無く捉え、創造的に課題発見が行えると共に、異分野専門家で構成されるチームの中で、リサーチから具現化までのデザインプロセスを主導するディレクション・ファシリテーション・マネジメントといった能力です。
3)は、様々な課題に対し、社会的枠組みから発想し、ビジネスマインドを持って社会実装が行える能力です。
このソーシャルインタラクションデザインの能力を涵養するために、デザイン学専攻では、プロダクト系、ビジュアル系、プレイス系、キュレーション系、テクノロジー系、マネジメント系といった6系列によって専門教育科目と教員研究分野を構成しつつ、また、それらを有機的に統合するPBL(プロジェクトベーストラーニング)系実習・演習科目を、産業界、自治体、海外研究機関、美術館・博物館やメディア業界との緊密な連携によって設置しています。
以上の科目群および研究指導を経て、修士号の学位取得は、多様な社会問題に対する革新的デザインの提示を制作によって示す特定課題型(制作)と、研究論文として示したり、造形(美術とデザイン)の歴史と理論を分析する論文型の2つの方法から選ぶことができます。

京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻(博士前期課程)

IMG: 京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻(博士前期課程)
IMG: 京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻(博士前期課程)
IMG: 京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻(博士前期課程)

<専攻紹介>
タイのチェンマイ大学と連携し、建築学、特に都市・建築再生学と建築設計学を中心とした分野において、共同で教育プログラムを構築し、修了時には共同で単一の学位「修士(建築学)」を授与するジョイントディグリー・プログラムとして京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻を設置しました。タイ北部に位置するチェンマイは寺院が多く、古都としての風格を備えていることから、タイの京都とも呼ばれ、京都と同様に文化・建築遺産が多く残る都市です。

・博士後期課程進学について
建築学専攻(博士前期課程)を修了した学生は、建築学専攻(博士後期課程)を受験することになります。

<教育プログラム>
建築学専攻のカリキュラムとも緊密に連動しながら、京都とタイ相互の伝統・文化を背景とした都市・建築の在り方を学習します。
① タイにおける英語を用いた講義・実習
② 建築設計学および都市・建築再生学を中心とした講義・実習
③ 日本・タイ両国における実習および両国の教員・学生の合同による日本・タイ両国における実習
④ 互いに相手国で一定期間(約半年間)生活しながらの履修



Kyoto Institute of Technology and Chiang Mai University Joint Master’s Degree Program in Architecture
https://www.kit.ac.jp/en/academic-programs/ma...

 

デザイン科学域の紹介

 現代社会は、資源やエネルギーの循環、既存社会・既存空間の再生、グローバル化の進展や社会・経済の複雑化にともなう多様性を受け入れる社会の構築といった新たな諸問題に直面しています。持続可能な未来社会を実現すべく、広い概念としての「デザイン」の力は、これまで以上に求められるようになってきています。本学域は、歴史と先端、ローカルとグローバルが同居する京都という歴史的都市において、こうした社会情勢を踏まえて「デザイン」を学びそれを実践へと生かす活動を行う場です。デザイン学と建築学の2つの専門を、それぞれの特性を生かしながら一体として教育研究を行っており、工学的ものづくり基盤を生かしながら、未来社会を新たな方法論で創造すること、あるいは新たにモノや建築物を創り出すための技術に加え、既存の建築や都市の再生を目指しています。
 学部はデザイン・建築学課程の1課程からなり、デザイン学と建築学を一体として捉えた教育を基盤としつつ、1年次後学期からは実習をデザインコースと建築コースに分け、それぞれの専門を深く学びます。
 大学院は、博士前期課程についてはデザイン学専攻、建築学専攻に加え、タイのチェンマイ大学とのジョイント・ディグリープログラムである京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻の3専攻からなります。これらのうちデザイン学専攻内ではロンドン芸術大学とのダブル・ディグリープログラムとして「Global Collaborative Design Practice」を実施しており、建築学専攻内には特別教育プログラムとして「建築・都市保存再生学コース」を設置しています。博士後期課程については、デザイン学専攻、建築学専攻の2専攻を設置し教育研究を行っています。


デザイン・建築学課程の教育

 本課程では、次のような学修・教育到達目標を定めており、これに基づいた教育プログラムを編成しています。

Ⅰ.デザインコース
(1)デザイン理論・芸術理論とデザイン実習、さらにマネジメントやエンジニアリング系の理論や演習を通して、生活をデザインの力によって形成していく広範な知識と技術の修得【専門力】
(2)プロダクト、ヴィジュアル、スペース等ものづくりに関わる専門的デザイン能力を修得すると同時に、産業構造の変化等を見据え、時代に応じて変化する社会的な課題に対し、新たなサービスの創造や社会実装化を率先して実現できる能力の修得【リーダーシップ、個の確立】
(3)新旧が共存する京都という地の中で、歴史と先端の融合をデザイン・エンジニアリング・マネジメント・キュレーションの観点で昇華させ、新たな価値を創造できる能力の醸成【個の確立、外国語運用能力】

Ⅱ.建築コース
(1)建築をとりまく住環境・都市環境・自然環境に関する知識、その価値の理解や共生に向けた生態学や歴史学的な知識、またこうした知識を基礎にして具体的な都市や建築を構想するために必要な建築設計技術としての設計製図・計画・環境制御・構造・生産技術等に関わる能力の習得【専門力】
(2)個々の専門的知識や技術を、より高い創造性と社会性の中で総合的にマネジメントし、固有の風土や歴史、文化を持った都市や地域に根差す優れた建築物として結実させる能力の修得【リーダーシップ、個の確立】
(3)我が国の一級建築士資格のみならず建築実務における職能の国際推奨基準を獲得でき、そして国内のみならず広く海外で活躍できるる言語力・表現力の習得【外国語運用能力】

 専門科目のカリキュラムは、必修の専門導入科目、専門基礎科目(選択必修科目と選択科目で構成されます)に加え、A群科目(建築系)、B群科目(デザイン系)、C群科目(芸術系&マネジメント系&エンジニアリング系)、D群科目(制作実習・演習)の選択必修科目、幅広い分野にわたる選択科目、そして必修の卒業研究があります。これらの科目をバランスよく学習すれば、21世紀社会の暮らしを心から豊かにする総合的構想力を、デザインや建築の実習とその基礎となる造形理論、人文社会科学、工学を学びながら、着実に身につけることができるように設計されており、将来、デザインや建築の専門家、またデザインマインドやビジネスマインドをもった実践家・技術者・研究者になる人にとって有益なプログラムとなっています。
 3年次末には、専門的知識の学修度合をはかるための達成度試験を実施します。この成績とGPAを参考にして、本学大学院の3×3特別推薦入試に対する課程からの推薦者を決定します。3×3特別推薦入試に合格した学生は、学部4年次を「M0(エムゼロ)」とみなし修士課程の2年間と合わせた3年間の一貫したプログラムによる学修および研究を行います。



KIT-UALダブル・ディグリー・コース

KIT-UAL ダブルディグリーコースの紹介
京都工芸繊維大学(KIT)のデザイン学専攻と ロンドン芸術大学(UAL)の学生がともに同じプログラムで学び、KITとUALの二つの学位を取得するコースです。

コースの趣旨
デザインは、たんに新しいモノを生産することだけを目的としているのではありません。今日のデザインが目指しているのは、私たちが生きる場である社会や環境そのものに働きかけ、新しい仕組みを生みだし、そこからさらなる可能性を開いていく、クリエイティブな挑戦です。求められているのは、もはや、ヒロイックな個人としてのデザイナーではありません。ロンドン芸術大学(UAL)とのダブル・ディグリー・コースでは、異なる文化的背景や観点を持つ仲間との交流や対話をとおして多様性を理解し、さまざまな専門分野との学際的な結びつきを志向しながら、コラボレーションという手法をとおして実践を重ねていく、アクチュアルなデザイン教育を展開しています。
なお、このダブル・ディグリー・コースの学生は、デザイン学専攻に入学した学生の希望者から選抜され、オンラインと対面を取り混ぜた教育を受けるとともに、ロンドンへの渡航が求められます。就業期間は、秋学期から2年間で、春学期入学の場合の学位取得はデザイン学専攻への入学から2年半後になります。

コースの概要
https://www.arts.ac.uk/subjects/communication...

募集情報
https://www.kit.ac.jp/international_index/stu...



Introduction of KIT-UAL Double Degree Course
KIT and UAL students study design together through the same educational program, and can obtain two degrees of Master of Engineering (KIT) and Master of Arts (UAL).

Philosophy of the Course
Design practice means something more than producing new things. The contemporary design aims at conducting creative challenges that affect directly the society and environment in which we actually live, producing new mechanisms and values of living. The designer is no longer the heroic individual. In the double degree course of KIT with the University of the Arts London (UAL), students are engaged in design practice in an interactive and collaborative way, putting an accent on the communication with colleagues who have different cultural backgrounds, deepening their understanding of diversity, and widening their interdisciplinary perspective.

Program overview
https://www.arts.ac.uk/subjects/communication...