デザイン・建築学課程の概要

 

デザイン科学域の紹介

 現代社会は、資源やエネルギーの循環、既存社会・既存空間の再生、グローバル化の進展や社会・経済の複雑化にともなう多様性を受け入れる社会の構築といった新たな諸問題に直面しています。持続可能な未来社会を実現すべく、広い概念としての「デザイン」の力は、これまで以上に求められるようになってきています。本学域は、歴史と先端、ローカルとグローバルが同居する京都という歴史的都市において、こうした社会情勢を踏まえて「デザイン」を学びそれを実践へと生かす活動を行う場です。デザイン学と建築学の2つの専門を、それぞれの特性を生かしながら一体として教育研究を行っており、工学的ものづくり基盤を生かしながら、未来社会を新たな方法論で創造すること、あるいは新たにモノや建築物を創り出すための技術に加え、既存の建築や都市の再生を目指しています。
 学部はデザイン・建築学課程の1課程からなり、デザイン学と建築学を一体として捉えた教育を基盤としつつ、1年次後学期からは実習をデザインコースと建築コースに分け、それぞれの専門を深く学びます。
 大学院は、博士前期課程についてはデザイン学専攻、建築学専攻に加え、タイのチェンマイ大学とのジョイント・ディグリープログラムである京都工芸繊維大学・チェンマイ大学国際連携建築学専攻の3専攻からなります。これらのうちデザイン学専攻内ではロンドン芸術大学とのダブル・ディグリープログラムとして「Global Collaborative Design Practice」を実施しており、建築学専攻内には特別教育プログラムとして「建築・都市保存再生学コース」を設置しています。博士後期課程については、デザイン学専攻、建築学専攻の2専攻を設置し教育研究を行っています。


デザイン・建築学課程の教育

 本課程では、次のような学修・教育到達目標を定めており、これに基づいた教育プログラムを編成しています。

Ⅰ.デザインコース
(1)デザイン理論・芸術理論とデザイン実習、さらにマネジメントやエンジニアリング系の理論や演習を通して、生活をデザインの力によって形成していく広範な知識と技術の修得【専門力】
(2)プロダクト、ヴィジュアル、スペース等ものづくりに関わる専門的デザイン能力を修得すると同時に、産業構造の変化等を見据え、時代に応じて変化する社会的な課題に対し、新たなサービスの創造や社会実装化を率先して実現できる能力の修得【リーダーシップ、個の確立】
(3)新旧が共存する京都という地の中で、歴史と先端の融合をデザイン・エンジニアリング・マネジメント・キュレーションの観点で昇華させ、新たな価値を創造できる能力の醸成【個の確立、外国語運用能力】

Ⅱ.建築コース
(1)建築をとりまく住環境・都市環境・自然環境に関する知識、その価値の理解や共生に向けた生態学や歴史学的な知識、またこうした知識を基礎にして具体的な都市や建築を構想するために必要な建築設計技術としての設計製図・計画・環境制御・構造・生産技術等に関わる能力の習得【専門力】
(2)個々の専門的知識や技術を、より高い創造性と社会性の中で総合的にマネジメントし、固有の風土や歴史、文化を持った都市や地域に根差す優れた建築物として結実させる能力の修得【リーダーシップ、個の確立】
(3)我が国の一級建築士資格のみならず建築実務における職能の国際推奨基準を獲得でき、そして国内のみならず広く海外で活躍できるる言語力・表現力の習得【外国語運用能力】

 専門科目のカリキュラムは、必修の専門導入科目、専門基礎科目(選択必修科目と選択科目で構成されます)に加え、A群科目(建築系)、B群科目(デザイン系)、C群科目(芸術系&マネジメント系&エンジニアリング系)、D群科目(制作実習・演習)の選択必修科目、幅広い分野にわたる選択科目、そして必修の卒業研究があります。これらの科目をバランスよく学習すれば、21世紀社会の暮らしを心から豊かにする総合的構想力を、デザインや建築の実習とその基礎となる造形理論、人文社会科学、工学を学びながら、着実に身につけることができるように設計されており、将来、デザインや建築の専門家、またデザインマインドやビジネスマインドをもった実践家・技術者・研究者になる人にとって有益なプログラムとなっています。
 3年次末には、専門的知識の学修度合をはかるための達成度試験を実施します。この成績とGPAを参考にして、本学大学院の3×3特別推薦入試に対する課程からの推薦者を決定します。3×3特別推薦入試に合格した学生は、学部4年次を「M0(エムゼロ)」とみなし修士課程の2年間と合わせた3年間の一貫したプログラムによる学修および研究を行います。